世の中に流通しているルビーのほとんどが「加熱処理」
が行われたルビーであるということは意外と知られて
いません。もとは色が悪くて宝石としては使えない
原石を現代の技術で宝石として販売できる品質まで
見た目を改良することが可能になりました。
鑑別機関が発行する鑑別所にも「ルビーは一般的に
加熱による色の改良が行われている」と明記されています。
加熱処理をして美しさを改良したルビーも
きちんと情報開示をして販売すれば良い。。。という方も
いらっしゃいますが、そのジュエラーが加熱処理とは
何なのかをご存知なのか? はいささか疑問です。
私たちモリスは、無処理で美しいルビーこそ「宝石」
だと思います。
。。というわけで、私たちモリスは、無処理で美しいルビー
を専門にした時から、美しさに欠けるルビーの原石を
自分たちで加熱して、その加熱前、後のデータを集めて
います。自分の眼で確かめられないのに、これは無処理
(非加熱)で美しいルビーです。。というのはおかしい
と思うからです。
私たちの実験の結果では、ルビーはポケットに入れていても
シャワーを浴びても色の変化はありません。
しかし、600度の温度で5時間加熱すれば、ルビーを含め
コランダムの59%の結晶の色が目視でも、分光器の数値でも
変化することが分かりました。
400度以下ではほとんど変化はありません。
写真は、600度で5時間ルビーの原石を加熱した時の内包物
の変化です。左側は加熱前、右側は加熱後です。
高温で加熱されて内包物が少し痛そうです。
色も変わったのですが、内包物も確実に変化しています。
ここからは、蛇足。。
別に加熱していても美しければ良いじゃないか、と
おっしゃる方には、同じ鉱物で同じ化学組成をもつ人工合成
ルビーか添加物を加えて加工した、加熱処理ルビーでいいと
思います。
私には、宝石としての魅力は感じられませんが。。
宝石を持つ時の姿勢としては、限りあって数が少なくても、
あるものをありがたく崇めながら楽しむ方が、化学技術に
任せて宝石見えるものを作るよりも良いのでは?と思います。
「かけがえのないもの」とは、失うと代わりがないから、かけがえの
無いものだと思います。
宝石以外の宝物といえば、子宝などといいます。
子供は、かけがえのない宝ものだからだと思います。
失うと同じものは、作れないし、自分の命よりも長く残って欲しい
もの。だから宝だと。。。
大きくて加熱処理したルビーよりも、小さくても無処理で美しい
ルビーがいいなと思うのは、子供がありのままの姿で
いてほしいのと良く似た感覚かも知れません。
化学技術は、素晴らしいと思いますが、使わない方がいいところ
もあるのではないでしょうか。