「指輪を手に取る会」については先日ご紹介した通り、
諏訪会長がお声掛けいただき、宝官さん、末永さんなど
有志が、歴史的に意味のある「橋本コレクション」を
手にとって、意見交換をするという会です。
ジュエラーの大先輩に囲まれて勉強させていただくばかり
です。感謝するばかりです。
写真のルビーリングですが、17~18世紀に製作されたもの
で、剥がれていますが、エナメルで豪華に装飾されていた
様です。
さて、私たちはルビーが得意なので、このルビーをしっかり
とお見せいただきました。
私は、蛍光性があること、モゴック産に多いスタッビィ状の
結晶インクルージョン(アパタイトの形が崩れた結晶)など
あと、成長線の感じからモゴック鉱山からやってきたルビー
だと思いました。
ルビーの品質という視点だけで見ると最高のルビーではあり
ません。少し青みを帯びており、今でもよく産出されるタイプ
の結晶です。ただ、ルビーを取り囲む装飾の部分の豪華さや
いままで大切にされて残っていたことから推測すると、この
ルビーは、「宝物」として扱われたということが分かります。
色々とこの時代のルビーをお見せいただく機会がありますが、
加熱処理などをして美しさを改良してあるものは見たことが
ありません。(石留めしている金具をエナメルを乗せて加工
したことにより、加熱したような跡が残っているサファイア
はありましたが。。)
今よりも、宝石の流通が確立されていなかった時代、ルビー
というだけで、もの凄く珍しいものだったのだろうと思い
ますが。。。
人が持てる技術を惜しみなく使って美しくする部分と、人が
手を出せない部分を非常に高い次元で感じさせてくれるリング
です。
お教えいただけることに感謝するばかりです。